2019/11/21

【ケーススタディで考える 職場のコミュニケーション「報連相」とは】
Contents
【「報連相」は職場のコミュニケーション 】
職場でのコミュニケーションには、「報連相」が欠かせません。
「報連相」とは、「報告」「連絡」「相談」の、それぞれの頭文字を取った言葉です。
もし、「報告」がなかったら、「連絡」がなかったら、「相談」がなかったら、職場という組織でのコミュニケーションは成り立ちません。
今回は、この、職場のコミュニケーションで、絶対に必要な「報連相」について、ある事例を使って、ケーススタディで考えていきます。
是非、「報連相」を上手に使えるようになって、職場でのコミュニケーションを円滑にしていきましょう。
【コミュニケーションとは】
まず、コミュニケーションについて考えてみましょう。
コミュニケーションとは、人間同士がお互いの意思や感情、思考などを伝達し合うことです。
つまり、相手が何を考えているのか、怒っているのか喜んでいるのか、そしてこれからどうしようと思っているのかなどを、お互いに理解し合っている状態が、コミュニケーションが成立している状態です。
しかし、このコミュニケーションが社内で取れていないという悩みを、様々な企業で聞きます。
つまり社内で社員同士が、何の仕事をしているのか、何を考えて仕事をしているのか、どのように仕事をしようとしているのかなどを、お互いに理解し合えていない状態にある企業が、多いということです。
このような企業での多くは、「報連相」に問題があります。
社内でコミュニケーションを成立させるためには、「報連相」が非常に重要なのです。
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【「報連相」とは】
「報告」「連絡」「相談」の3つの単語の頭文字を取って、「報連相」と言います。
社内でのコミュニケーションは、この「報連相」を意識して行うことが非常に重要です。
報告(報)とは、上司や先輩などから指示された仕事の進捗や結果を伝えることです。
連絡(連)とは、事実や情報などを、関係する人や必要な人に伝達することです。
相談(相)とは、仕事に関して悩んでいることや困っていることなどに対して、判断やアドバイス、指示を仰ぐことです。
今回はある事例を使ったケーススタディで、社内の「報連相」が、社員同士でどうあるべきかを、考えます。
登場人物それぞれの立場として必要な「報連相」を、是非皆さんも一緒に考えてください。
【「報連相」のケーススタディ】
場面は、医療機器卸会社の営業1課でのある日の出来事です。
登場人物は、営業1課Y課長、営業マンKさん、営業事務Aさんの3人です。
Aさんは営業事務の仕事をしています。担当する営業マンは3人で、3人の営業マンの契約書や見積書などの書類作成から、お客様からの受発注の対応などが主な仕事です。
その日も、営業マンから指示されている契約書は見積書の作成をしていました。
しかし15時ころY課長から突然、
「明日の朝一で、急に社長と打ち合わせが入った。
過去1年間の色々な数字をまとめなければならない。
急で申し訳ないが、この数字を調べて、エクセルのグラフと表にして出力してほしい。
今日中に打ち合わせの準備をするので、帰るまでに終わらせてくれるか。」
との指示がありました。
Aさんは少し考えました。
「この数字を抽出して、エクセルにまとめるのには、終業時刻の18時くらいまでかかりそう。
最近は残業の規制もあるので、今日の残りの時間は、課長から指示された仕事だけで、他の仕事は出来ない。
他の仕事で急ぎは、KさんがZ社に明日の午後出す見積もりの作成だけかな。
それも午後の提出だから、明日の朝一で作成すれば大丈夫!それに社長と打ち合わせをする課長からの指示は、最優先に取り組まなければ!!
課長が社長にしっかり説明のできる資料を、頑張って作成しよう!!!」
そしてAさんは、全ての仕事に優先させて、課長から指示を受けた仕事に、気合を入れて取り組み始めました。
そして終業時刻ギリギリの17:55に資料が完成し、課長に提出しました。
Y課長は
「ありがとう!!
これから、じっくり確認させてもらうよ!
本当にありがとう!」
と、とても喜びました。
残業規制の対象外のY課長は、部下がほぼ退社した後、落ち着いて次の日の社長との打ち合わせの準備を始めました。
次の日の、まだ始業時刻前の9時前の、営業マンのKさんとAさんの会話です。
Kさん
「Z社の見積もり出来ている?」
Aさん
「今日の午後にお持ちになると聞いていましたので、今日の午前中に作成するつもりでいました。
それに昨日は、課長から急な仕事も入りましたし・・」
Kさん
「いつもは、前日までに次の日の分は作成してくれているじゃないか。
今日は午前中から外出して、出先からZ社に行くつもりだった。
けど仕方がない、昼に一度戻ってくるので、午前中に作っておいて。
しかし、そもそも課長から急な仕事が入ったなんて聞いていないし、忙しいなら自分で作るのに、何故昨日のうちに言ってくれないんだ。」
Aさん
「午前中から外出するなんて聞いてませんよ。
逆にそれなら、なんで昨日のうちに作っておくように言ってくれなかったんですか。」
AさんとKさんは、しばらくぎくしゃくすることになってしまいました。
ちなみにY課長は、Aさんが立派な資料を作成してくれ、またY課長自身も入念に準備をしていたおかげで、社長の打ち合わせは非常にうまくいったようです。
そして今後の営業1課の取り組みについて、社長と合意がしっかり取れて、非常にご満悦でした。
【それぞれの立場での「報連相」】
さて、登場人物それぞれの立場として、「報連相」はどのようにあるべきでしたでしょうか。
私の個人的な考え方をまとめておきます。
【Aさんに必要だった「報連相」】
Kさんに対して
【連絡】
「Y課長が明日、急に社長と打ち合わせをされることになりました。」
【報告】
「その資料を作成しなければならなくなりましたので、見積もりの作成が本日中に出来なくなりました。」
【相談】
「明日の朝一で作成しますので、10時までには出来ますが、大丈夫でしょうか?」
【Kさんに必要だった報連相】
Aさんに対して
【連絡】
「Aさん、明日私は午前中から外出し、そのまま出先からZ社に行くことになるよ。」
【報告】
「だから、Z社の見積もりは朝出発する段階で必要なんだ。」
【相談】
「明日は9時には出発するけど、その時間までに作成は大丈夫?」
【Y課長に必要だった報連相】
課員全員に対して
【連絡】
「明日朝一で、社長と打ち合わせをすることとなった。
内容は営業1課の今後の営業方針についてだ。
また、みんなの日ごろの頑張りも社長に伝えておくよ。」
社長との打ち合わせは、課を代表して行うものです。
決して課長個人の打ち合わせではありません。
であれば、ここではやはり課員全員に、社長と打ち合わせを行うことの連絡は必要でした。
また社長との打ち合わせという貴重な機会を使って、気の利いた一言を入れることも、部下を巻き込むちょっとしたスキルです。
そして、打ち合わせ後の報告や、打ち合わせにあたっての相談なども、課長に必要な報連相のスキルです。
KさんとAさんに対して
【連絡】
「さっきも言ったように、社長との打ち合わせが明日ある。」
【報告】
「その打ち合わせに必要な資料を、Aさんにお願いした。
今日中に必要だ。」
【相談】
「もしK君からAさんに頼んでいる仕事があったのなら、調整してもらえないか。」
【問題の根源は部門長】
それぞれの「報連相」に問題がありました。
それぞれが反省し、改善しなければならないのですが、実は私は、Y課長に一番問題があったと考えています。
Y課長の「報連相」の全くない、そして自分のことしか考えていない指示が、KさんとAさんの関係性をギクシャクさせてしまいました。
営業1課は、Y課長のこのような報連相のスキルの低さから、色々な問題が発生しているのではないでしょうか。
そのような、心配もしてしまいます。
皆さんは、どうお考えですか?
私は、社内のコミュニケーションの、問題の根源は部門長にあると思っています。
部門長にあたる方は、ご自身の部門内でのコミュニケーションの取り方について、都度振り返って欲しいと思います。
「言わなくても分かっているはず」
「いつものことだから言わなくても大丈夫」
などと思っていませんでしょうか。
部門長は、部下がうっとうしいと思うくらい、部下に確認の「報連相」が必要なのです。
部門長の方こそ、「報連相」を意識して、社内の円滑なコミュニケーションを推進していきましょう!
リーダー必須の職場コミュニケーション61のスキルーカウンセリング、ティーチング、コーチング、報連相の活かし方
【リアルな事例をケーススタディに】
皆さんの職場でも、色々なコミュニケーションに関する問題が起きていることと思います。
リアルな実例に基づき、リアルなケーススタディを使って、職場内で何が問題なのかを考えてみましょう。
色々な問題が見えてくるはずです。
特に部門長の方には、その問題を謙虚に受け止めていただきますように!
【コミュニケーション 格言】
「親子が積極的にコミュニケーションしないと、社会的な決まりも知らず、挨拶もできない子供ができあがってしまう(坂本金八⦅金八先生⦆)」
「楽天を始めたころ、私が思ったのは「最大のコンテンツはコミュニケーションだ」ということでした」(三木谷浩史)
「結婚に必要なものはコミュニケーション。そして一人になれる場所があること」(ベティ・デイヴィス)
「コミュニケーションにはボキャブラリーを増やすことが大切です」(青木仁志)
「人間の最大の罪は不機嫌である」(ゲーテ)
「人とつきあうのに秘訣があるとすれば、それはまずこちらが相手を好きになってしまうことではないでしょうか」(瀬戸内寂聴)
「人は誰でも、他人よりも何らかの点で優れていると考えていることを忘れてはならない。相手の心を確実に掴む方法は、相手が相手なりの重要人物であるとそれとなく、あるいは心から認めてやることである」(デール・カーネギー)
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